かりてみた


やりようによってはただのコメディで終わってたものが、サスペンス要素を取り入れた巧みな演出と〆の一言で、一気にエエかんじの作品に。




バカバカしいシーンのさじ加減が絶妙。妄想ダメ親父が妄想のあまりに妄想のおもむくまま妄想に勇気をもらって妄想の中で幸せに死んでゆく。死ぬその瞬間に「幸せだった」と感じられる、ってのは誰もが願う「理想の死に方」なんじゃないかな。それをやってのけちゃったんだもの、そりゃあ評価も高まるってもんだ。


けどこの「事件」を単なるニュース記事として見たら、こんなに不幸な死に方ないよ。
『会社をリストラされた上に妻に浮気されたアルバイターのおっさんが、ホモフォビアの隣人にホモと勘違いされて誘いを断ったら、逆恨みと秘密がバレる恐怖で殺されちゃいました』
この上なく悲しくてバカバカしい事件だ。おっさんな〜んも悪くないのに死んじゃった。死んでも死にきれない、とはまさにこのことだよ。なのに、当の本人は幸せだ〜つて死んでってる。あ、じゃ、いんじゃね?ってことなんだよ。要は、人生いいもわるいも気の持ちようだよね!つうことだ。必要以上にくよくよしたり、何でもかんでも人のせいにしてる場合じゃない、そんな暇ないんだ、人生には。


いい映画でした。面白かった!サム・メンデス監督の他の作品も見ねばね。