王様少年

春ですね。いつだかにタニシを掘りに来た少年らも、ようやく土の中から這い出てきました。もうそんな季節なんだなぁ。
いつものように庭でウロウロしているのを放っておいたんですが、しばらくしてから事務所のドアを開けて曰く
 「オマエノ会社ノ前二アル自動販売機デジュースヲ買イタイ。ドーシテモ我慢デキナイ。金ヲ貸セ」
と。アタシには到底理解出来ない言語でした。
 「家に帰ってお母さんにお金もらってくればいーしょ」
なんとかギリギリで返事をすると
 「家ハ遠イ。金ヲ貸セ」
などと、また意味のわからない言葉を発するので
 「じゃあ我慢すれば」
と返すと、憮然とした顔でようやく去っていきました。


自分の都合で勝手な言い訳を一方的に並べて、それで赤の他人から簡単に金をせびれるとでも思ったのでしょうか。甘すぎる。そしてその事が恥ずかしい行為だとも思ってないようでした。鈍感すぎる。子供だからって誰もがお前等に優しいと思ったら大間違いですよ。
結局彼らはジュースを買うことなく帰って行きました。我慢出来てんじゃん!えー。恥を知れ!


今思い出しましたが、以前タニシ掘ってた時も気ィつけれよと言っといたくせにまんまと池にはまりやがって、まあそこまでは別にいーんだけども、わざわざ「お母さんに怒られる、どうしよう」とアタシのとこに靴ごとずぶ濡れの片足を見せに来たんでした。きくな。どうしたもこうしたも怒られるしかないんじゃないの、つてそのまま帰しましたけれどもね。そうして皆おっきくなってったんですから。あんた達だけ免れると思うんじゃないよ。がんばれちっさい王様!