演劇工舎ライトマン@シアターZOO

mou-mou2007-05-20


「行き止まりに吹き溜まる澱んだ空気は何処から流れ来るのか」


やけに長いタイトルから取っつきにくい観念芝居なのかしらとヒヤヒヤしながら行ってみたら、笑いとちょいエロとプチ狂気と合唱(!)で構成された面白学園モノでした。まともな演劇を見せていただきました、という心地の良い気分に。面白かった!




いつも同級生からパシリにされている口が常に全開き(ぜんあき)の男子学生・ナカちゃんが大層可愛らしかったです。彼と担任の社会科教師との会話がもうね、すんげぇ可愛らしいったらないの。バカだけど根が素直なナカちゃんは担任のめんこちゃんで、何彼となく話しかけるんだけど、毎回ナカちゃんはその半分も理解できない、それでも担任はどうにかわかってもらおうとして優しく優しくナカちゃんを諭すわけ。それが天然ボケとやんわりツッコミの漫才みたいで、めちゃくちゃ笑いました。
地元を牛耳ってる金持ちの息子とロシア人ハーフとナカちゃん、3人の力関係ありありの微妙な友達状態とか、教室では無口なハブられもんなのに彼女の前だけでは饒舌な男子学生とか、ちょっと毒も含んだ漫画のようなリアル…というか、居そうで居ないかんじのキャラクターがそれぞれ魅力的でした。その辺の微妙な匙加減を役者さん達が皆上手に演じていて、安心して見ていられました。
なかでも客演の女優さんが凄く魅力的で、劇団員演じる女子学生の姉役だったんですけれども、上手すぎて女子学生がかすんじゃうくらいでした。その姉ちゃんてのが妹思いの可愛らしい人なんだけども、妹に楽させようと手っ取り早く稼げる方法としてやってるのが美人局、てゆう。たちの悪い男と一緒になっていたいけな童貞くん達を騙しまくるのです。
童貞くん!といえばナカちゃんですよ。当然彼も騙されて脅されるわけなんですけれども、そこんとこの演出がなかなか面白くて、まずナカちゃんを美人局部屋に行くように唆すのがハーフの子なんですが、そのハーフの子もナカちゃんより以前に騙されて脅されて新たなカモ連れて来いつて命令されちゃってたわけで、要はナカちゃんとハーフの子は同じ経緯を辿って騙されて脅されてくんですよね。その次系軸違いの顛末をナカちゃんとハーフの子を二人並べて同じ演技をさせることで表現するんです。わ〜面白〜。自分チに帰ってから無理矢理買わされたエロDVDでオナるのもシンクロでね。面白かったです。
あと面白演出だったのは場面ごとのセット転換。大きく変わるのは机が並ぶ「教室」と炬燵が置いてある「女子学生と姉の部屋」なんですが、その度に大音量で音楽が鳴り色とりどりの照明が瞬いて役者達がてんでバラバラな動きをしながら意味不明な大声をあげつつ皆でセット転換するんです。わ〜面白〜。「おかぁーーさぁーん!おかぁーーさぁーん!」とか叫んでたもの。全然お母さんとか出てこないのに。あと小道具のクッキーを口移しで食べたり。じゆう!
もうひとつ変わった演出があって、男子らが教室で野球をやりはじめると、そのボールが客席に向かって打ち返される…てゆう。面白いっちゃあ面白いんだけど、狭ぇよ!危ねぇよ!てゆう。観客に当たる分には避けるとかキャッチする(ホントにいた。直球で跳んできた球ビシィ!て。かっこい〜)とか出来るんですが、天井のライトにビッシビシ当たるのが怖くてね。やってる役者さん達もふつうに怖がってましたもの。危ないからそーゆーのはもっと広い劇場でやってください。
イトマンさんの舞台では毎回合唱が恒例なんでしょうか。皆さんとっても上手かったです。歌詞も面白かったけど作曲と編曲が素晴らしかった。混声合唱ってこんなかんじよね〜て特徴を上手く捉えつつ笑える仕上がりになってました。♪ちょう〜こわい〜〜♪


気になった役者さんはやっぱり担任の先生。やんわりツッコミ好きー。あんまり好きすぎて帰りにCD*1買って帰って来ちゃいました。先生の浪々とした歌いっぷりが千の風になるアレみたいでした。
ナカちゃん役の人も気になりました。普通に客入れしてるからスタッフさんかと思ってたらいつの間にか舞台に立っててアレ?みたいな。ごめんだってすげぇスタッフ顔だったから。今度は口閉まってる役が見てみたいです。次もまた口開いていたらもう”そういう人”認定しようと思います。それはそれで笑える。
あと国語の先生が少ない出番ながら得体の知れないイイ味を出してました。生徒のいたずらで背中に「拍手して!」って紙が貼られて先生が板書する度に後ろで生徒が拍手するもんで先生激怒、てゆうシーンがあったんですけれども、あれって観客側に貼り紙が向いたときに拍手をするべきだったんでしょうか。あと合唱を唄い終わった後の拍手ね。どちらもかなり迷ったんだけど…出来なかった…いくじなし!
総裁(そうさい!)の重道元樹さんは脚本・演出のときはじゅうどうげんき名義になるんですね。わ〜なんともおたく的。そう考えると長〜いタイトルも実におたく的に思えてくるし、もちろん総裁(そうさい!)て呼称も完全におたく的だし、実際劇中で仮面ライダーのお面と変なTシャツ着て暴れてたし、ブログでもそれげな話題が多いし、なんだか確実におたくの国の人だもの。演劇工舎ライトマンさん、アタシが好きじゃないはずないじゃない。次回公演も絶対また見に行きたいです。
役者としての重道元樹さんは、まず頭のでかさに驚きます。下手したらモリよりでかいんじゃないだろうか。なのに確実にモリより身長低いと思います。肉のつき方も相まって漫画とか特撮系のフィギアみたいな、まるであのバランスなの。面白!次に声…というか発声の仕方がアニメ声優みたいなんです。アムロの物真似してる人の、物真似、みたいな。声の抑揚が必要以上にありすぎるのね。シリアスなシーンでそれをやられっちゃうからアタシなんかは笑いをこらえるのに必死でした。お芝居的には大変お上手なんですよ、ちょっと抑えたしゃべり方をしてるときはまともだし。でもココは決めるぞ!てゆうキモのシーンや台詞で、リキ入っちゃうと途端にダメ。途端にアムロ。の物真似の物真似。あれは相当損してると思いますよ〜勿体無い。面白いけどね!


演劇工舎ライトマンさんの「ライトマン」はどういう意味なんでしょうね。「lightman」?その「light」は『灯火』なのか『軽薄』なのか。と、そういうどうでもいいことまで考えてしまうくらい好きな劇団に出会えたのも全てZOO7のおかげです。ありがとうZOO7。ZOO7ばんざい!

*1:合唱の譜面、各パートと伴奏のみのカラオケ、に加えて劇中で担任の先生が弾き語りでさわりだけ歌ってた曲も収録。税込300円。お得!