SKG@シアターZOO

「桜襲」


さくらがさね、と読むんですて。フライヤーに書いてありましたが十二単における色の組み合わせにそんなのがあるんだとか。へ〜。SKG初挑戦の時代劇、しかも新撰組です。桜とか梅とか愛とか恋とかいう甘酸っぱいモチーフもりもりの素敵なお芝居でしたよ。




ZOO7(ズーセブン)というお祭りの最中なら何回見ても3,000円ってことだったんで、お言葉に甘えて一日に2回も見てしまいました。シーズン券のおかげでそういうことが手軽に出来るのが嬉しいですね。5月いっぱい楽しんだったろうと思ってます。リピーターより初見のお客さんを優先的に入場させてくれるシステムも素敵。千秋楽の最終公演だったので椅子に座れなかったら帰ろうと思って行くだけ行ってみたらまんまと座れて嬉しい反面なんだか心配。大丈夫なの?!ZOO7!!
土方歳三さんが実際に詠んだという「梅の花 一輪咲いても 梅は梅」という句がなんだか健気で可愛らしくて、強く心に残りました。ただの爆笑青春群像活劇と思わせといて実はこの句が本当のテーマを端的に表してるんじゃないかしらと推測。なんつーか…「君は君だよ」的な?きゃ〜!(茶化すつもりはないんですが心が汚れているのでとても恥ずかしいのです)終演後のミニライブでSE-NOの人が「(新撰組は)時代に巻き込まれた人達」みたいなことを言ってましたが、アタシは逆に「周りに巻き込まれずに一輪一輪咲いた人達」のお話に感じられました。それぞれが自分のことだけで精一杯で不器用に自分勝手に目の前のことを一生懸命やっていくことしか出来ない人達のお話。皆バラバラ、白と赤のダンダラ模様だけど、遠い過去とか遠い未来とか、とにかく遠いトコから見れば結局全部桜色に見えるじゃない、とゆうメッセージを勝手に感じ取って悦に入っておりました。咲いた散ったと大騒ぎされる桜の花より、人知れず咲いて散っていく梅の花のほうが好きだ〜なんていじらしい台詞も出てきたりして、脚本家さんの乙女心が可愛らしいったらないです。こーゆーとこがハム様の魅力なのかしらね〜なんつて内心ニヤついてましたけれども。昔見たすがの公脚本の芝居はそういう可愛気、や共感、がアタシにはあまり感じ取れない内容だったので「ビタミンシェイク」でSKGを初体験した後「R」を見に行って以来すっかり足が遠のいてしまいましたが、今回見に行ってみて良かったです。RUSH!!のお芝居は毎回見るようにしてるので絶対行きたい、なら久々にSKG見てみようかな〜と軽い気持ちで行ったのも良かったかもしれないですね。言い方は悪いですが期待してなかった分その反動でめちゃめちゃ楽しかった。ありがとうZOO7。ZOO7ばんざい!
そんなわけで2回も見ちゃったSKG。2回ともちゃんと面白かったです。もしDVDが出たらきっとそれも買うと思います。アタシ的にはこないだ見たなっくすさんより良かったかな〜なんて。イヤ、多分それはアタシ側のコンディションの問題で、実はなっくす5人見ると条件反射で中の人中心に捉えてしまって全く役柄や物語に入り込めなかった…てゆう。単なるバラエティタレントとしてしか彼らを認識していない、ということですね。悲しい弊害ですよ。彼らそれぞれを好きになればなるほど役柄として受け止められない、てことですからね。けどそれはやっぱりアタシ自身の受け止め方が特別オカシイだけであって、かなりのファンでもちゃんと芝居を楽しめる、という方が殆ど…というかアタシ以外全員そうだと思うんですけれどもね!だから決して彼らがバラエティ番組に出るのが駄目だとかそんなことは全っっく思ってませんけれどもね!次回観劇の際は頭を切り替えて役者としての彼らを存分に味わいたいと思いますよ。え。え。


で、SKGの話にもどりますけれども。
ZOO7開催を知ってからこっち、WEB上のSKGをちょこちょこ見てまわってたんですが、WEB上で見るすがのさんは結構ボロボロのようでした。SKダッシュ団員の脱退、スガノホームの更新停止、誰もわかんねーだろうけど誰かわかってくれよ、みたいなことを繰り返し呟きながら泥沼に自ら足を突っ込んで行ってるようにアタシには見えました。少し昔の文章を読んでも結構トーンは一緒で、いつまで経っても本人が変わらないのか周りが変わらないのかよくわかりませんが、端から見ててなんだかなぁ〜と思ってました。スガノホームの最後らへんなんてもう酷くて、いくら書きたくて書いたものであってもアレを読んだ周りの人間は絶対傷つくし書いた本人だって書いてスッキリなんて絶対しないだろうに、つう、仮にも団長って名乗ってる人間が例え片隅とはいえ全世界に発信したらダメでしょ、つう、便所の落書きレベルの文章がのっかってたりしました。今もちゃんと残ってますが、あんなんもしアタシの友達が書いたんだとしたら物凄く悲しい気持ちになるわ〜。しかも劇団ってなんか人間関係濃いそうじゃないですか。尚更凹むんじゃないかしら。あのあとちゃんと誰かに叱ってもらえたんでしょうか、慰めてもらえたんでしょうか。スガノホームの更新停止は正しい選択だと思いました。「言いたいことは全部舞台に乗せればいいじゃない」なんて無茶振りにも程があるのでそんなことは言いません。大人になったら色々面倒くさいかもしれないけど、結局掃き溜めはリアル友達に持ってもらうのが一番無難だと思うんです。
「桜襲」を書いた時期とあのへんの時期がどう重なってたかはよくわかりませんし、もしかしたら全く重なってないかもしれませんが、ずっと同じことをぐるぐるぐるぐる考えてる人だと思うので、あの時期もこの時期もなくずっと考えてたことの、とりあえずのオチがあの美しい桜色の光景なら、まずはめでたしめでたしと言って良いんじゃないでしょうか。ただしあのエンディングだって主人公であるさくらちゃんが頭の中で描いてる夢の光景で、現実の彼女は相変わらず洗い過ぎてもうすっかり浅葱色じゃなくなった血まみれの隊服を洗濯してて、愛した男は蝦夷地に去るわ隊士は死ぬか隊を去るかでてんでバラバラ…まったくめでたくもなんともないんですけれどもね。現実は相も変わらず厳しいままなのな。辛い辛い、でやっぱり辛い、て話は大嫌いだけど、こーゆーイイ感じに見せかけといて実は辛い、ちゅうお話は大好物です。うれしいたのしいだいすき!みたいなのも苦手なので、この「桜襲」というお話はその辺の匙加減が非常に自分の好みに合ってました。もうちょっと台詞の間とか音楽とかをねっちり気味に演出されてたら絶対泣いてたと思います。


高橋隆太、という役者さんを見るのは多分これで3回目なんですが、見るたびに演技が気持ち悪くなっているのはたまたまそういう役柄なんだ、と思いたいです。舞台度胸があって本当に楽しそうに演技をしているのが見ていて気持ちいいので、今度はにょろにょろしない役柄で見てみたいです。それにしても「ゴリラで力持ちでバカ」なのになんだってあそこまでにょろにょろしちゃうんでしょうか。不思議な役者さんです。不思議すぎて逆に目が離せない。あとは身体が大きい分、殺陣の未熟さが目立ってしまったのが残念でした。ゆうても剣道三段なので目は確かなはず。きっとね、自分が思っているのより10センチぐらい手と足が長すぎるんだと思うんですよ。だから油断するとあやふやな動きになってふにゃふにゃして見えちゃう。折角の体格と派手な動きがいまいち生かしきれてないのが勿体無いなぁもっとこう、さぁ…!なんてもやもやしながら見てました。って、あのにょろにょろが実はわざとやってたってんなら、たいした取り越し苦労な上に大きなお世話だよ!ってかんじですが。え〜と…温かい目でのんびり見守りたいと思います。以前にも『他の引き出しを見てみたい』と思ってしばらく追いかけた役者さんが結局いっこの引き出し(何を演じても肩に力入れて大声で叫ぶ)(モリじゃないですよ)しか持ってなくて相当がっかりしたことがあるので、なるべくまったり追いかけるようにしたいです。
個性的な体型の天野さおりさんは色々可愛らしかったです。言うなればマスコット的な可愛さでしょうか。ちょっとハスキー気味の声も好きだったんですが、あれは単に声枯れしてただけなのかな。小山さんの蹴りを受けて舞台袖に飛んでいく様が可笑しかったです。そういうオモチャみたいだった。
最近SKGに入団した古崎瑛美さんはかなりの実力派と見ました。笑顔がとっても魅力的で、一輪だけ咲いた梅の花を見上げているときの表情が印象に残っています。是非長く続けていただいて、どんどん沢山の役を見せてもらいたいです。いまいちノリの悪い観客に向かってアドリブでヤケクソ気味に叫んだ「モンスターー!」あれは良かった。
観劇後、能登英輔くんを指して友人が「アンタの好みでしょ」と言いました。ずばり!役柄的に眼鏡はかけてなかったんですがおそらく見えざる眼鏡が見えたのでしょう。実際に彼は普段メガネ男子らしいです。ずばり!!あの細ーい目とかサラサラヘアーとかもう…もう…ずばり!!!冷徹で嫉妬深い沖田総司をサラリと演じてらっさいました。…好き!(告白
小山めぐみさんは相変わらず花のある立ち振る舞いをなさいますね。殺陣とかちょう格好いい!声もいいです。叫んでも囁いても聞き取れる発声をしてくれるだけで観劇のストレスはかなりなくなりますもの。あと、無駄な手の動きをしてたり、背中が丸まって立ち姿が汚かったりする役者さんを見るとガッカリします。そーゆー役者さんが一人でも居ると集中力のないアタシは気が散って仕方ないので最悪そこだけはちゃんとしてもらいたいもんです。
高橋逸人先生の”ちっちゃい神様”は最高でした。ジーーーザス!!しかし彼はいつになったら髪を切ってくれるんでしょうか。たまにはシュッとした、体温の低そうな役を見てみたい気がします。いつまでもべらんめぇ口調で乗り切れるわけないと思うんですけれどもね。けどもうこれは役者としてというよりかは表現者としての魂レベルの”熱さ”(もしくは”暑苦しさ”)の問題なのでまったく見当違いな望みかもしれないです。
江田君と言えばナイーブ、江田君といえば青白い、今回も見事な狂人っぷりでした。友人は他のも見てみたい〜なんて言ってましたけれどもアタシは江田君のキレた演技が大好きなので、もうしばらくはその辺のギリギリ感を演じてくれたら嬉しいです。
彦素くんて変わった名前ですね。ひこそ?とても上手な役者さんだと思います。客演なりなんなりでビシバシ経験積んで大物脇役になっていただきたい。チョイ役ながら毎回アドリブで笑いを取らなければならない役どころで、なかなか面白かったです。大楽での「かんだーーーーー!!」には大笑いしました。(畳み掛けるようにギャグを言おうとした途端に台詞を噛んでしまい、もうこう叫ぶしかなかったのでした)
立川くんは眼鏡の有り無しで顔の雰囲気がガラリと変わる、典型的な「眼鏡を取ったらアラ美人☆」の人ですね。すごい可愛いの。でもがなり過ぎちゃって台詞が聞き取り辛いの。りきみ過ぎなければいい感じなので今後に期待大☆って今回他の日に自分チの芝居も打つんですね。可愛い顔して実はタフガイ★
今回客演していた楽珍トリオの皆さんはやはり!東京でもまれてるだけあって上手いです。とにかく上手い。まさに板に付いてるので安心して見られました。お笑いの人はまずもって空気を読むのが上手いですよね。なんでこの人達が客演なんだろう…札幌の役者さんじゃないんだろう…とても残念です。
そんでやっぱり最後美味しい所をパクリといただいちゃうのが団長・すがの公さんですよね〜。ずるいわ〜この人。カメラ入ってる回と入ってない回のクオリティの差があり過ぎるし。ずるいわ〜ホント。芹沢鴨とお梅、ってなっくすさんの時もそうでしたけど、どうしたって感動を誘うかんじになるもんな〜。殺陣が上手です。雑なトコは雑なんだけど決めるトコ決める、ってゆう彼の芝居そのものの殺陣ですよね。おいし過ぎるわ〜マジで。1回目を見たときは前半の演技が集中力なくてボロボロで内心もうお前は脚本だけ書いとけ!ぐらい思ってたんですが、後半ガーッと巻き返してくるわ2回目は最初からちゃんとテンション上げてくるわで、ホント色々おいし過ぎる。
舞台装置や衣装のショボさは大した問題じゃないと思うんです。金がない、それはしょうがない。殺陣の足捌きのために多少いやかなり袴がツンツルテンでも、エンディングの桜吹雪がボトボトとしか落ちてこなくても、アタシは全然気になりませんでし…イヤちょっとは笑ったけど。まあそれとこれとは関係なくてですね、要はボロは着てても心は錦、ですよ。大事なのは役者の身体ひとつ、あと脚本。そこがダメならどんだけ立派な舞台立てたって良い衣装やあてがったってショボくなっちゃいますよ。毎度毎度素人が生意気に勝手なことばかり言っておりますけれども。


いよいよ始まった演劇祭りZOO7、ちっちゃい屋台も出てて学祭感ムンムンで楽しそうです。どうやら飲み食いしながら見て良いみたいですが、あの狭い中で隣の人が観劇中にもさもさ焼きそば食ってたらきっと腹立つと思うんだけどなぁ。少なくともアタシは嫌だ。ああ!また全く褒めてない…アタシは好きとか面白かったとかをもっとちゃんとそのまんま素直に表現するようになった方がいい。けどなんか年々それが出来なくなってってるような気がします。このままじゃあ末は愚痴ばかり言ってる頑固婆さんだよ…じ自粛します。なるべく。