ラーメンズ@かでる2・7

ラーメンズ第16回公演「TEXT」札幌公演・夜公演


思いがけず見られる事になった2回目の「TEXT」さん。千秋楽いっこ前を楽しんできました。



  1. あいうえお作文
  2. 同音異義語
  3. 透明人間
  4. 条例
  5. ジョッキー
  6. 列車


お題目の「TEXT」がイコール「台本」という意味合いである、と仮定した場合当然アドリブは少なめなのかしらん?との予想通り、前回公演「ALICE」に比べると遥かに台本に忠実でした。台詞のひとつひとつを正確に発していかないとそもそもが面白くない、という遊びの少ないコントが殆どなわけだから当然のことですけれどもね。3本目のコント以外明確なアドリブと言えるものはなかった、と言ってよいかもしれません。これはやっぱり2回見てみないとわからないわけで、改めて今回チケットを譲っていただけた幸運に感謝したい。本当にどうもありがとうございました!同じ公演を2回(以上)見る、という楽しみ方は多分演者からしたら相当鬱陶しいことだとは思うんですけれども、コントのからくりをより深く理解したような気分になれるので悪趣味だとわかっててもこればっかりはなかなかやめられませんなぁ。(にやにや というわけで2回目に見て気付いたことなんかを書き留めておきます。


1本目の芝居のトーンを割とカチカチ気味に演じてるんですね。特に小林さんの方にその辺の意識が強いように感じました。要は作文のドラマチックっぷりを見せたいわけで、その他の芝居で遊んでしまうと散漫になってしまいますもんね。ただ最後の社鬼と社長のやり取りの部分では若干テンションゆるくやってたような場面もあった気がしたので、その辺は台本とその時の空気が許す範囲ならちょっとくらいは遊んでもいいかんじはあったんでしょうね。余裕〜!あ、そうだ。今日は最初の明転で「ひあっ」みたいな女子の黄色い声が小さく数名からあがってました。愛されてるな〜ラーメンズ。(にやにや


2本目のコントは何篇かの短いストーリーに分かれていて、前々日の木曜の公演でその2番目である「宇宙船の船長(片桐)と会議の資料を探す会社員(小林)」のコント冒頭で仁さんがズボーッと台詞を忘れて真っ白になって立ち尽くす場面があったんだそうです。小林さんが小声で台詞をフォローしてなんとか続けようとしたものの、その後小林さんも台詞が抜ける、という事態に陥って仕方なくそのシーンを頭からやり直したんだとか。ひ〜え〜これはまたなんとも厳しい。
そんなことがあったからだと思うんですが、そこのシーンが終わって互いの立ち位置交換のための薄暗転の中、擦れ違いざまハイタッチしてました。うまく出来た喜びを分かち合うってことなんでしょうか。聞けばそれって金曜の公演でもやってたそうで。よっぽど悔しかったんでしょうね〜。事情を知らないお客さんは「???」でしょうけれども。うふふ〜


3本目は初日より意識してアドリブっぽい芝居をしている気がしました。片桐さんの突飛な論理展開に小林さんが呆れながら笑う雰囲気をより砕けたかんじに演出してました。観客としてはその方が楽しいかもしれませんね。あれは素に近い感じでダラダラしゃべるのがミソなので、その方がより笑えました。その過程で仁さんも多少アドリブっぽい態度は取ってたかもしれない。話の筋道があんまり整理整頓されてないせいでどれがそれだったか未だによくわかりませんが、だからこそよくあんなん台詞覚えられるな〜なんて今更ながら感心しちゃいました。最近、井上陽水奥田民生の歌を聴いて同じようなことを考えてたんで、本当スゲェな〜て。あんな脈絡のない話や歌詞、どやって覚えるんだろう。あとまだ見たことないけど「THE3名様」とかゆうDVDの人達とか。皆さん揃ってプロの方なので多分そこは凡人にはわからない何かしらのアレがあるんでしょう、きっと。才能?とか慣れ?とかゆうアレが。けどアタシったらアンケートにまで「すごいですね」とか書いちゃったぐらいにして。しかも平仮名で。プロの方つかまえて相当に失礼だったですね面目ない。


4本目のコントも短いシーンを暗転挟んで繰り返しやってくんですけれども、ハイここでちょっとしたアクシデント発生〜。デフォルト→短歌条例→うやうや条例→ハリウッド条例→ミュージカル条例→発言禁止条例、確か全部で6つのシーンに分かれてたと思うんですが、これのハリウッドとミュージカルの間の暗転中に、小林さんが右膝を痛めたらしいんです。
暗転中に小さく「イタ」みたいな声とガタ、とかバタ、とかいう舞台板が小さく鳴る音が途切れ途切れに聞こえてきまして、なかなか暗転が明けない。突然の事態に静かにザワつく客席。それでも続く暗転。と、多分スタッフ判断だと思うんですが、ゆっくりめに暗転が明けていきました、それに答えるように小林さんが小さな声で、けど客席にも聞こえるような音量で「だいじょうぶ。」と言いました。その時点では二人とも予定通りの立ち位置に予定通りのポーズ(小林:舞台左手前方に片膝立ち、片桐:舞台後方に立つ)でちゃんと収まってたので、おそらく膝を痛めたのは片膝をつく直前か膝をついた瞬間だったのではないでしょうか。
そうして、ミュージカル調に日常会話を繰り広げる…という最高にバカバカしいコントが始まるんですけれども、明らかに小林さんの動きがおかしい訳です。まともに歩けないくらい足を引き摺ってる。客席後列だったんであまり確証はないんですが、表情はたいして苦しそうには見えないんですけどね。客席からもところどころから小さく悲鳴が上がってたように思います。そらそうですよ、心配だもの。演者も観客もある意味コントどころじゃない状態ですが、とりあえず中断することなくそこそこ笑いも湧き、なんとか最後まで終わって暗転。薄暗転の幕間で次のコントのために箱馬の準備をするのは小林さんの役目だったはずなんですが、今回ばかりはスタッフさんが代わりにやってました。
因みにこのコントが始まる前の幕間で、小林さんが先に板付き→仁さんがなかなか出てこない→エアウッドベース、てのは「台本」でしたね。確か3本目から4本目で仁さんの髪型が上半分縛りから一本縛りになるのと、4本目のコントは箱馬を用意する必要がないってことだけで、小林さんの空き時間てあんなに出来ちゃうんだ〜へ〜(どうでもいい


あの場にいた全員を一瞬で心配させた小林さんですが、長めの幕間のあとちゃんと馬被って出てきました。5本目はただただ座ってればいいだけだから、ちょっと安心。タイミングが良かったですよ。観客も一旦怪我の事は忘れて仁さんの汗だくパフォーマンスに大いに笑いました。
最後に仁さんが「台本どおりだよ!」と吐き捨てて退散してったとおりに、このコントは殆どがアドリブなしだという事がわかりました。「汗だくだよ〜」とゴロゴロ転がり、つまらないギャグを言ってから「あとで怒られる〜」と呟くトコも、全部「台本」。ただし、その直前に「(こんなに汗だくになるコントを)昼夜2回だもの〜」と言って転がったのと、「股と脇を同時に乾かす人!」と言って舞台を斜めに横切る2回目で「股と脇を同時に乾かす衛星!」と叫んでアノ態勢のまま小林さんの顔をガン見しつつ馬の周りをグルグル回ったのは、おそらくアドリブ…なんじゃないかな?少なくともアタシが見た札幌初日ではやってませんでした。そういえば衛星で回りながら「思いついた順にやっちゃった〜」なんて、どこかで聞いたような事もアドリブ?で言ってましたね。さすがギリジン、貪欲〜!
コント終了後、確か幕間の薄暗転の中は本来なら小林さんはまだ馬被って箱馬に座ってて、はけるときに馬のギャロップ風に走り去るはずなんですが、今回ばかりはコント終了の暗転中に箱馬だけ残してはけて居なくなってました。薄暗転になったときに舞台上に浮かび上がるふたつの箱馬がやけに物悲しい風情を醸し出してましたよ…その上に残された競馬新聞の白さがやけに薄明かりに反射して見えちゃってさぁ…ちょっとイヤなかんじでしたよ。


最後のコントの箱馬を設置したのは仁さんでした。今まではジョッキーの衣装を着替える都合上、小林さんがやってたのに。自信なさげに振り返って箱馬の位置を微調整する、って仕草は初日に小林さんもやってたんでもしかしたら「台本」なのかもしれないんですが、その演出を代わりの仁さんまでが忠実に再現してたんだとしたら、繊細な観客にとってはかえって逆効果だったかもしれないですね。無神経なアタシは笑ってましたが。
きっと裏では何かしら対応策にバタバタと追われてるのかしら、と十分に感じさせられる程度に薄暗転のまましばらく待たされたあと、照明が最大に明転されます。と、小林さんが「やめないよ〜」と明るい調子で言いながら足を引き摺って舞台上に現れ、その後ろから苦笑交じりの顔で仁さんも出てきます。舞台前方に素の二人が並んで状況説明をしてくれました。前にも痛めたことがある右膝なので大した怪我ではない、心配しなくても大丈夫、と懸命な小林さんの説明を聞いて、笑いながら「(そうは言われても)心配するよなぁ〜?」と観客に声をかける仁さん。なんだかちょっと和みました。それで、これからやる最後のコントはどうしても見てもらいたい物語なので是非見て欲しい、必然的に動きが制限されてしまうのが申し訳ないんだけど続けさせてください、と続行を宣言。拍手で承諾する観客。二人は立ち位置につきコント開始…と思いきや慌てて舞台裏に走り去る仁さん、…新聞を持って帰ってきました。忘れてきてたんだね!うう、和むわ〜。改めて薄暗転→明転でコント開始。
活版印刷所に勤める小林さんが、これまで新聞上でしでかした誤字を紹介していきます。「忍」と「忘」、「汗」と「汁」を間違えて…というくだりで、それまで直立していた小林さんが片膝をつく必要があって「そうか、ここは膝をつかないと…」なんつって余計な独り言をアドリブで入れながらぎこちなく体勢を変えたり、牛乳屋を訪ねるために列車に乗り込み手元のチケットと照らし合わせながら指定席に座るときの、運行中の列車に乗っているので必然的に身体が若干揺れますよね〜的ちょっとしたマイムはやらなかったり(2回目はちょっとやってた)した程度の影響はありつつも、その他は軽く足を引き摺るだけで無事コント終了〜。
舞台が明転して観客の拍手に答えながら一人づつお辞儀した後、いつもならそのまま何も言わずに手を振って去って行くんですけれども、小林さんが手振りでトークする姿勢を示したので、大人しく拍手の手を止める観客。ラーメンズの公演ではアンコールの拍手で何度も何度も舞台上に引き戻されて、お二人のトークをある程度聞いてからじゃねぇと帰らねぇぞ、ちゅうのが観客の習わしになっているので、今回もそんな何度も呼ばれたんじゃ足に響く、というお互いの配慮だったのでしょう。
再び足の状態を説明してました。前にも痛めているので状況は把握している、30分ほど安静にしていれば直る程度の怪我なので心配しないで、と言ってました。で、気を取り直すように「どうでした?片桐さん…」といつも通り仁さんに今日の感想を尋ねるんですが「どうでしたも何も…ねぇ?」なんつってあっさり苦笑で返されちゃったぐらいにして。そりゃそうだ、コント何も全部怪我に持ってかれちゃったもの。小林さんも年には勝てねぇな〜!なんて苦笑いしてましたよ。
そのまま多少ぎこちないかんじで小林さんが〆て、観客拍手〜ラーメンズ退場〜。したらあっさり拍手はビタッと止みました。確かにあの状態の小林さんをアンコールで呼び出すような真似はしたくないですよ、だからあの場ではそれで良かったんですけれども。でもなんか…そうなると拍手って何かね?アンコールって、何かね?とちょっと考えてしまいましたね。多分地元の東京だったら、あんなにあっさり拍手が止む事はなかったんじゃないかな〜と思いました。「(拍手してるんだから)アンコールで出て来い!」って意味じゃなくて、純粋な労いとか応援の意味で、かえって拍手が止まらなかったんじゃないだろうか、とちょっとだけ思いました。札幌の観客はドライ、ってことを久々に感じましたね。例えあの場に居た殆どが道外勢だったとしても、札幌の空気が彼らまでもをドライにさせるんじゃないでしょうか。いや、決して心根までがドライなわけじゃないんですよ。諦めが早かったり、素直なぶん従順な面もあるのかもしれません。いずれにしてもアンコールがお約束に成り下がってるのは、多少問題かもしれないですね。


終演後、お友達とやっぱりココは試される大地なんだよ、なんて話をしました。突発的なハプニングに負けずにどれだけのコントを観客に見せられるのか、コントの神様に試されたんじゃねぇの?なんて。神様もなかなか厳しくてらっさりますね。まぁアタシがその神様だとしたら「5点!」とします。何点満点かはあえて言いませんけれども。わはは。
確かに突然怪我されたのには驚きましたし、折角の舞台が台無しになっちゃったのには同情しますけれども、それとは別の部分で…なんつうか…「最後のコントはどうしても見てもらいたい物語なので」つた小林さんにブワッと鳥肌立っちゃいました。「”物語”ってゆった今!この人”物語”ってゆった!」って、あ…すみません…色々…。でもアタシは小林さんのこーゆー押し付けがまさが、どうにも、どうにも苦手で。すみませんファンの方…いやアタシもファンの人なんだろうけど。女子として小林さんを愛してる方々がもしいたら、すみません。多分”肉襦袢”は許せても、怪我しちゃった人に対してこゆこと言うのはいささか人でなしな発言だったですね。小林さん個人のパーソナリティは苦手なんだけど、その彼が紡ぎ出すラーメンズの世界は大好きで、でもそれが時々脚本上や舞台上に透けて見えちゃったりするとその度「うわ」ってなる、てゆう面倒臭いファンなんですアタシは。


怪我しちゃった小林さん、多分すごい悔しかったでしょうね。「台本」通りの完成された世界を自分のちょっとした不注意のせいでふいにしちゃったんですもの。誰よりも悔しがってると思います。前にも痛めたことがあるって言ってましたが、癖にでもなってるんでしょうか。この公演が終わったら無理にでもゆっくり休んで、出来る限りの治療を施して完治に近づけて欲しいものです。アドリブや笑えるハプニングなら大好物ですけれども、こういう演者本人にさえどうにもフォロー出来ないレベルでの笑えないアクシデントは、出来ればもうあって欲しくないです。養生してください。養生してください。
…ってことは、アンケートには書きませんでした。えらい長いこと書いたんですが絶対に怪我の心配をしてるようなことだけは意地でも書くもんか!って、わざと関係ないことばかりをズラズラ書いたりましたよ。ラーメンズ・ネットの観劇の心得に「事前にガムを噛め」と書き加えてくださいうそです、みたいなそうゆう。いや、関係なくないなんだけどね!アタシにとってはかなり深刻な問題だったんで実は半分くらい本気で開演前の影アナで注意喚起するなり、なんとかしてガムのCMに出て提供商品として入場時に客全員にガム配るとかかなりして欲しいけどね!
怪我のことは四の五の言わなくても十分噛み締めてるんだろうし、当然何とかしてもらわないとこれから先困りますよ。ラーメンズも悔しいだろうけど、そんなの観客だって見たくないですもんね。二人が元気に舞台に上がってる姿だけを、ずっとずっと見せつけといて欲しいです。


初日にどうにも理解出来なかった部分が二箇所ほどあった、と書きましたがそのうち一個はわかりました。条例のコントの最後の最後、発言禁止条例で発言していないにも関わらずサイレンが鳴って、ガッツポーズが一転お縄を頂戴されるポーズに変化するじゃないですか。あそこで「発言禁止条例に則って一切発言してないのに、なんで捕まるの?」って思ってたんですがイヤイヤ、あれってそもそも強盗を計画してるって会話ですもんね〜。そっちの罪で捕まったんですね〜なるほど〜いや〜こんな簡単な意味もわからずに偉そうなことガチャガチャゆって申し訳ない。けど!まだやっぱりもう一箇所わかんないとこがあるんですけれども!!あ〜悔しい。自分のバカさ加減に呆れる。他の観客の方々はちゃんと笑ってるんですよ。でもアタシだけわかんなくて笑えなくて。めちゃくちゃ悔しいです。でもネタバレレポートとか誰かに教えてもらったりとかでわかりたくないんです。どうしても自力で理解してピローン!てボタン押してバタン、て帽子の札を上げたい*1んです。だから、ご一緒したお友達が「実は一箇所だけわからないところがあって、●番目のコントの…」て言い出したところで慌てて止めました。だって、だってそれきっと同じトコだもの!それ聞いちゃったらアタシ絶対顔に出るから、絶対それ以上言わんで!言わんで!って必死に訴えました。その節はすみませんでしたお友達の方たち…。けどマジでどうしよう…このおかげでどちら様のネタバレレポートも読みに行けませんよ…ラーメンズがDVD出してくれるまで生殺しかよ…しかも2回も見てわかんなかったバカが例えDVDで何度も見たからって今更わかるのかも微妙…くそう…くそう……!!
これ読んだ方、お願いですからアタシに「そのわかんないことってアソコだよね?それって●●●ってことだよ(にっこり」とか、くれぐれも言ってこないでくださいね。メールならその気配を感じた瞬間に全文消しますし、会った時なら耳に指突っ込みながら「にしおかすみこだよ、にしおかすみこだよ」と延々物真似で叫び続けます。どちら様もくれぐれも、よろしくお願いしますよ。


観客の口臭に悩まされたり、演者の怪我に心配させられたり、なんだか本筋と関係ないところで印象深い公演でした、「TEXT」さん。しかも肝心の本編でわかんないとこあるしな!うう。色々と悔いが残ってしまいましたが、それはそれ。めげずに次の本公演に思いを馳せながら、ここらでいい加減終わります。あ〜、無駄に長い。