ラーメンズ@かでる2・7

ラーメンズ第16回公演「TEXT」札幌公演


東京→神戸→福岡→東京、と長いことかけて旅してきた2年振りのラーメンズ本公演「TEXT」さんが、ようやっと札幌に上陸して参りました、その初日。それなりの緊張感で挑んできましたよ。以下、だらだらと何かしら書きます。






ラーメンズさんの、実に2年振りの、本公演。しかもタイトルが「TEXT」、て。おそらく誰しもが思ったであろうようにアタシも思いました、めちゃくちゃに日本語をこねくり回したすんげぇ頭使う内容なんだべな〜て。「Study」の時もそんな覚悟をしながら見に行った記憶があります。なにせ「勉強」だもの!て。でまぁ蓋を開けてみたらばドンピシャその通りでしたよ。しこたま頭使いましたよ。アタシみたいなバカには大変に酷な内容でしたよ。
だからってつまんねかったのか?!い〜え、そんなことはありません。大変面白かったです。以前にGBL小林賢太郎ソロワークを見たときに「やべぇ!面白くねぇ!」なんつって何故か焦って大いに取り乱したあまり色々と恥ずかしいモンを書き散らかしたことがありました。今回もあっさりその轍を踏んで、でもまた頭おかしいこと言い出したくないんで一生懸命取り繕ってるだけなんでねぇのか?!い〜え、そんなことはありません。本当に面白かったんです。ただ、前回公演「ALICE」のときとは自分の『ラーメンズの楽しみ方』が変化しているのは確実で、それをあくまでも「温度差が生じている」と表現するに留めておこうとする部分がアタシのラーメンズに対する気持ちの悪い執着で、そこのところが我ながら必死だな(プゲラとは正直思いますけれどもね。けどまた何年か後に更に色々変化しちゃってるんであろう自分がコレ読み返して懐かしく笑うために、多少こっ恥ずかしいこともまんま書いておこうと思いますよ。
以上、意気込みはこんなところ。次に心づもりですが、実は直前で事情が変わりました。なんと!優しいお友達のご好意でもう一度「TEXT」が見られることになったんです。ありがたや〜ありがたや〜!!!そんな訳で当初よりは多少緩い気持ちで観劇に挑んでしまったのかもしれません、恥ずかしながらどうにも理解出来なかった部分が二箇所ほどあります。次はそこをなんとか解明したいところです。他の方のネタバレレポートで判明するなんてどうにも悔しいじゃない。どうにか自力で理解して「ああぁ!」て電球ピコーンと頭上に灯したろうと思いますよ。

  1. あいうえお作文
  2. 同音異義語
  3. 透明人間
  4. 条例
  5. ジョッキー
  6. 列車


こんなに本数少なかったっけ?全体に詰め込まれている単語の数が阿呆ほど多いのと、各コントへの伏線がちょこちょこと張り巡らされているせいでしょうか、たくさんみた気になってました。非常に濃密な脚本でした。さすがに2年振りの本公演、そら気合も入りすぎるくらい入りまくってるに決まってますもんね。

1.あいうえお作文

小学生向けの教材として五十音図のポスターを作成する、とある企業のお話。
正社員と部長、正社員とバイト、部長と社長、社長と謎の生物・社鬼(しゃき)、の組み合わせで一人何役かをクルクルと回転しながら演じ分けるコントですね。「レストランそれぞれ」*1を思い出しました。あと、あいうえお作文は「ドラマチックカウント」*2ね。
のっけからものつごい台詞の量です。ラーメンズさんらしく、なんの説明もなく突然始まる五十音図に沿った言葉遊びにこっちはついて行くだけで必死ですよ。笑ってる暇なんてないんだもの。けどああ、ああ、ああ!この不親切加減がラーメンズだよなぁ!なんつってすでにマゾ入ってるアタシなんかはそれでも、つかそこが楽しかったんですけど。あいうえお作文も一見ひねりを効かせてるように見せておいて所々ベタだったり、各キャラのリアクションも単純だったり、天丼を多用したり、最初はとっつき辛かった内容にも徐々に引き込まれていきました。
てゆうか、ね!やっぱり最初の暗転明けてドン、と明かりがついた瞬間にラーメンズさんが、そこに、居る!てゆう、そこでまず震えてしまいますよね、どうしたって。感嘆の声こそあがらなかったものの一瞬客席全体の空気がぶわ、と揺れた気がしました。そっから後はただただコントの筋を追っていくのに忙しくって、しみじみと感動する暇も気持ちも一切なかったですけれどもね。さて、そこは果たして計算なのか無意識なのか…って、そもそもがコントやってる人達に向かって「居る!」→「感動!」ってのも久々に見るとはいえ大概失礼な話ですよね。あ〜良かった、涙ぐんだりとか(えー。)しなくて。

2.同音異義語

互いに全く異なる状況の会話が、同音異義語で繋がり続けるショートコント集。
なんだろう…とっても不思議なコント…いやそもそもコントなんでしょうか?これ。流れるような展開が「モーフィンク」*3の雰囲気に似てるような気がしますが…いや〜、これはちょっと異質ですね。そもそも同音異義語だから、なんだってんでしょうか。面倒臭い構成な割に台詞がテンポ良くトントンと進むのは確かに凄いけど、だからなんだってんだ。爆笑のかわりに観客から「ほぉ〜…」つう溜息がいちいち聞こえてきてアタシなんかは居心地が悪いばっかりで…ねぇ。「爆破ちゃんを追うデカ」と「発泡スチロールで外車を作る男」はちょっと面白かったけど、バカには殆ど楽しめませんでした。

3.透明人間

「透明人間はいる?いない?」という問題について語り合う男達。
アタシはこういう「座ってただダラダラと話す人達」という図式、かなり好きです。「心理テスト」*4「エアメールの嘘」*5地球の歩き方*6とか、あとバナナマンおぎやはぎなんかもこういう図式のコントやりますよね。屁理屈と理不尽、実があるようでいて全くない、そんな会話を飽きもせず延々と続けている男達…見るからに暇人、明らかに無職。コントの中ぐらいでしかお目にかかれませんよ、こんな人達。ある意味「珍しい生き物観察」にも似た楽しみがこの類のコントにはあるんじゃないでしょうかね。
結局のところ透明人間はいるのかいないのか、コントの中でどういうオチがついたかはすっかり忘れてしまいましたが、この「透明人間」というキーワードの他、数々のフレーズが後のコントへの伏線になっていくんですね。にくい演出じゃあないですか〜(にやにや
あとこのコントは、あり得ない放物線を描く理論を展開する片桐仁とそれを煙に巻いたり小馬鹿にしつつも次第に翻弄される小林賢太郎、というキャラクターが楽しめるところも魅力です。仁さんが演じる天真爛漫なキャラクターは本当に憎めない、そしてなんて可愛らしいんでしょう。

仁「透明人間はいる!」
賢「証拠は?」
仁「感じるから!」

こんな理屈がまかり通るキャラを普通に演じられる方が片桐仁さんをおいて他に居るでしょうか。

4.条例

あるひとつのシチュエーションを様々な「と或るルール」に則って繰り返し表現していくコント。
手法的には以前にも「日替わりラーメンズ*7でやったことあるし、コントとしてある程度定番のネタなんでしょうけれども、ここでのミソはその「と或るルール」をこの前のコント(「透明人間」)ですでに伏線として一旦観客に伝えているってことでしょうか。ネタを知ってる分、次はこのルールでくる…くる…くる…キターー!てゆうわかりやすい快感が味わえますもね。ここまでの(特に2作目!)がある程度考えながら楽しむコントだっただけに、こーゆーわっかりやすく笑えるコントでゲラゲラ笑えて最高に楽しかったです。
「と或るルール」というのは日本全土に発令される「話し言葉を取り締まる条例」で、違反者は捕まっちゃうわけです。『五七五調条例』『ハリウッド条例』『ミュージカル条例』などなど。五七五調まではそうでもなかったけど、ハリウッド条例でかなりキましたね〜。小林さんがザ・プラン9なだぎ武さん演じるディラン・マッケイばりの濃ゆいハリウッド”風”で、ゲラッゲラ笑ってしまいました。あと小林さんのブラックジョーク”風”にいちいちリアクションする仁さんの仰け反りっぷりと「HAaaaaa!!」っていう笑いっぷりがもう可笑しくて可笑しくて辛抱たまらんかったです。バカだな〜本当にバカだ。
終演後の短いトークで、小林さんも「ここから流れが変わった」っておっさってました。それまで殆どウケなかったもんで二人してドキドキしてたらしいです。
因みにこのコントでネタになっている「小学生男子の妄想ベスト3」は大喜利猿「決勝」で出てきたお題と回答ですね。なつかし〜
あとこのコント始まる前の幕間で、小林さんが先に立ち位置についたんですが片桐さんがなかなか出てこないので訝しげに何回か出入り口を振り返ったあと、BGMに合わせてエアウッドベースしてました。わはは

5.ジョッキー

頑として無反応な競馬馬・ゴールデンボール(…)を宥めたりすかしたりして出走させようと、空回りするジョッキー。
てゆうかもうこのコント名は「馬上のギリジン」と名付けたいくらい。「タカシと父さん」から始まって「怪傑ギリジン」へと受け継がれた、もうラーメンズお家芸と言っても過言ではない、片桐仁さんがひたすら頑張りまくる系のコントですね。今回はジョッキーということで着ていた上着のゴールデンジャンバーが大変通気性が悪いらしく、非常に暑そうでした。もう年なんだから色々考えてかないとまた倒れますよっての。終盤、暑さを理由にぐだぐだと寝転がった時に「また怒られる…」と仁さんが呟いたのには思わずニヤついてしまいました。こんだけ長いことやってきてまだそんな力関係なんでしょうか。面白いコンビです。
あと気になったのが「全部台本に書いてあるんだからね!」ってトコ。ここでそうか、そうかと。「TEXT」というのは「台本」のことなのか、と。昔から口酸っぱくして言ってる「まずは台本ありき」のラーメンズさんが更に本気出して台本練るとこうだぞ、と。そういうコンセプトなんですね、と。勝手に解釈してみましたよ。正解かどうかは確かめようもありませんが、アタシの中ではすっかりそういうことになりました。

6.列車

祭りの夜。誤字の多い新聞を刷り、UFOを見たと言いはる友人と会い、届かなかった牛乳を取りに列車で牛乳屋へ向かう男の話。
コント名は「銀河じゃない鉄道の夜」というのはいかがでしょうか。取り留めなく物語が四方へ転がったあと、なんとなく物悲しいファンタジーに傾いて、そのまま終わるかと見せかけておいてそうでもない、みたいな中途半端な終わり方でした。今まで各コントで張ってきた伏線を集約しようとして、やっぱや〜めた★って途中で投げちゃったかんじに見えなくもないです。ツギハギだらけで表現のトーンもバラバラだし、何より謎なのが思わせぶりな母親の登場。なんだったんだ?アレ。深く考えすぎて笑いドコロを逃してしまいました。
前半のツギハギはあれはあれで仕方がないとして、ラストの破綻っぷりは結局本当はちゃんと最後まで悲しい結末にしようとしてて、でもそれじゃああんまりだから〜つて軽いテイストで無理矢理締めた感が強くないですか。悲しいのは苦手だけど、取ってつけたように明るく終わられるよりかはまだ物語として納得いったかもしれません。てか、「○maru」のときといい今回といい、なんでラストを悲しい方へ悲しい方へ持っていきたがるんでしょうか。小林さんに片桐さんが見えてない、て気付いた瞬間からドキドキしちゃいましたよ。ホント苦手だわ〜このテイスト。

〜アンコール〜

お約束のアンコール。2回目では小林さんが馬被って片桐さんがそれを鞭で突付いてました。3回目で拍手を〆て、ご挨拶。片桐さんは「初日で緊張した」と。小林さんは「今日のお客さん、好きです」つてました。う〜ん…なんか…なんだろう…かつてあんなに小林さんの「あいしているよ」にめちゃくちゃ感動したくせに、今こんなこと言うなんてどの面下げててかんじなんですが、あんたの「好き」には重みがないよ…と思ってしまいました。そのあとに続けて、2本目くらいまでは盛り上がらなくてドキドキしてたけど、とにかく二人で頑張ろうと思ってやってたら『ミュージカル条例』辺りで爆発して良かった、というようなことを言ってましたけれども、それは「好きです」の理由としてどっちかってゆったら相応しくない方の部類なんじゃないの?ハードル高い方が燃えるって性質なのかしら?な〜んて斜めに受け取る始末。そのあとも、咳してる人結構いましたけど大丈夫ですか〜とか、どなたかわかりませんけどご自愛下さい〜とか、普通に親切な小林さんの言葉かけを全っっく素直に受け止められない自分は相当に心が歪んでるんだと思います。きっとアタシの中で小林さんは意地悪いこと言ってるのが普通で、その彼が珍しく良いこと言ったから物凄く感激して、そっちが普通になった今となっては逆にそれが嘘臭い、てことに何故かなっちゃってるんだと思います。なんで?ひどい。





な〜んも考えなくてもわかりやすくて、テンポと勢いだけで爆笑に次ぐ爆笑、てのとはちょっと違ってある程度考えないとわかんない、けどそれが面白い!というコントが多いせいか見終わった後はヘトヘトで、脳みそがじわーんと痺れてるかんじ。なんのかんのと昔の作品を引き合いに出して似てるだのなんだの言うとりますが、マンネリだとかそういうつまらん事を言う気は全然なくて、むしろ知ってるラーメンズで嬉しいとかそういう気持ちです。一時期は箱から飛び出ろとか偉そうに色々言ってたような記憶もありますが、なんかもう待ちに待った本公演を見れちゃった今となっては、器がどうだろうが手法がどうだろうがラーメンズの二人でやってくれればそれでもういいや、という心境にグルッとまわってまたなってます。てゆうかやっぱりそれしかないんですよね。アタシもいつまで見ていられるかわかりませんけれども、見たいなと思ってるうちは二人が見られるといいと思っています。
今回また改めて小林賢太郎さんという脚本家は天才だと感じましたし、その世界観を完璧に表現するラーメンズという二人のパフォーマーは素晴らしい才能の持ち主です。こんな凄いのを生で見られるなんて自分は幸せ者だと思います。しかもその幸せがもう一度味わえるなんて!益々幸せです。次で今度こそ最後の「TEXT」体験です。心して挑みたいと思います。押忍!


…と、いいかんじに〆た後に続けて書くのは気が引けますが、これだけは言っておきたい。今回へとへとになった理由はもうひとつ。口臭のキツイ、お前の!お前の!お前のせいだよ!!それでなくてもこっちはバカなんだから人一倍ネタに集中しなきゃいけないのに、時折どこからともなく漂ってくる悪臭ったら!アタシも止せばいいのに、出処辿ろうとしちゃったりして。微々たる集中力を口臭探知とネタ推考、同時に使ってるもんだもん、そらへとへとにもなるわ。勿論出処なんてわかるわけないし。観劇中の携帯電話やおしゃべりに気ィ取られるってんならわかるけど口臭、て。厳しいわ〜臭いはガード出来ないし、なんなら注意も出来ないもね。「すみません…口、臭いんですけど…」言われた方も困るってね。どちらかのどなたかは存じませんがエチケットとしてのガム常備、よろしくお願いしますよ。ね。ホント。

*1:「CHERRY BLOSSOM FRONT 345」より

*2:「椿」より

*3:「ALICE」より

*4:「椿」より

*5:「CHERRY BLOSSOM FRONT 345」より

*6:「Study」より

*7:確か…「爆笑オンエアバトル」より