おにぎりあたためますかと私

mou-mou2006-02-27


ラーメンズにハマりたての頃もそうでしたが、大好きな映像は一日一回見ないと気がすまない性質です。そんなアタシが最近欠かさず見ている映像が「おにぎりあたためますか」です。特に2005年の11月29日及び12月6日!ココだけを繰り返し繰り返し何度も何度も何度も見ています。
この2回といえばそう、これまでも周囲の予想の斜め上をいく幾多の”残念”を生み出してきた「Mr.残念」こと佐藤重幸さんがまさに神がかり的なミラクルを起こした、北関東のロケ冒頭です。


以下、番組の紹介というよりかは放送内容をまんまネチネチと書きます。長いので畳みます。

※因みに
おにぎりあたためますか」というのは北海道で放送されているローソンさん全面協力によるテレビ番組で、本来はローソンの商品開発を目的とした番組だったはずなんですが、ひょんなことから出演者二人がボーカルユニットを組んでアジアデビューしてみたり、北海道の新たな名所を100箇所巡ってロードマップを作成してみたり、短いロケ日程の中でどれだけの量を食べ歩き出来るのかという半ば拷問じみた旅を続けてみたりする、よく言えば臨機応変、悪く言えば出たとこ勝負な、非常にフットワークの軽いロケ中心のバラエティ番組です。そして今現在は「全国津々浦々の美味しいものを食べ歩きつつ、各地の観光施設を訪れつつ、気が向けば商品開発したりするかもしれない、旅グルメ番組」です。たぶん。もっとちゃんとした解説はキーワードリンク先でお確かめ下さい。

この回は、関東地方で独り淋しく東京のお仕事をしている佐藤さんを気遣い、わざわざロケ地を北関東に設定し現地にて待ち合わせることになっていました。しかしこれまでにもロケの度に数々のアクシデント(新幹線に乗り遅れる、家の鍵を落とす、など)を巻き起こしてきた佐藤さんですので、旅を共にする大泉洋さんと佐藤麻美アナウンサーの心配(と云う名の密かな期待)は尽きません。そしてやはり、佐藤さんは見事!約束の集合場所には現れませんでした。新幹線の発車時刻はおろか、到着時刻になっても東京の部屋で爆睡しており、到着を確認するスタッフの電話でようやく目を覚ましたからです。
改めて大泉さんが東京にいる佐藤さんに電話をかけます。「もしもし!おにぎりあたためますかで〜っす!」殊更明るい調子で切り出す大泉さんに対して、佐藤さんは「探さないで下さい」と大層な落ち込みっぷり。「ボクはもうダメです」「自信がない」そんなネガティブ発言ばかりを繰り返す佐藤さんを大泉さんは爆笑と共に励まし、今回のロケ中どこかで落ち合いましょう、と約束して電話を切ります。
まともな一社会人として有り得ない過ちをやらかした佐藤さんを「彼は今バラエティタレントとしてノリにノッテいる」と評し、嫉妬すら感じている大泉さんが非常に微笑ましいです。そんな訳で佐藤さんを欠いたまま、大泉さんと麻美ちゃんはおにぎり史上最高額の料理を堪能する事になります。佐藤さん、返す返すも残念!!


…と、ここまでが一週分、11月29日に放送された内容です。濃い!なんて濃いんだまだお店一軒しか紹介してないのに!しかも出演者のうち1人は電話のみでの登場、画面にすら映っていません。だのにしっかり30分番組として成立しちゃうこの強さ。いかにチカラを持ったVTRであったかが伺えるじゃないですか。さぁでは続けて12月6日放送分の内容を追いますよ。


日本最高級を誇る牛肉は、HTBきっての名女子アナ・麻美ちゃんから「私も牛になりたい」という迷コメントを引き出すほどの凄まじい美味さ。大泉さんも仰け反りまくりです。そうして次に訪れたロケ先で、遂に佐藤さんは一向との合流を果たします。
すでにクビを覚悟していた佐藤さん、タレントとして有終の美を飾るために考えに考えた結果「開き直る」という驚くべき究極の態度で撮影に挑んできました。が、大泉さんと麻美ちゃんはそれをやんわりと受け止めた上で事の次第を聞き出します。
曰く、東京の仕事が続いて淋しかった佐藤さんは今回のロケを心底楽しみにしすぎるあまり前日に全く寝付けなくなってしまい、仕方なく簡単な薬を服用してなんとか眠りについたところ、今度はうっかり寝過ごしてしまったのだ、と。結果としては不可抗力であり本人に悪気はなかったにせよ、遅刻は遅刻。無駄になった新幹線のチケットとロケ地に駆け付けるためにかかったタクシー運賃は、当然自腹で払うことになった佐藤さんなのでした。あたりまえ〜


…このあと、放送上はお馴染みの3人による楽しいロケ風景につつがなく移るわけですが。この日の番組終了直前の後枠で流れた車中でのやり取りが、もうホント珠玉の出来なんです。出来っつうかもう、こんなん撮ろうと思って撮れる映像じゃないです。ホント奇跡としか言いようがないほど、素晴らしい面白映像なんです。

(佐藤さんへの罰は、新幹線代とタクシー代だけでなく本日一軒目の最高級牛肉を食べ逃した事である、と告げる大泉さんと麻美ちゃんに向かって)


重「でもあれだよ、オレ今日最後だからさ。もう一回くらい行ってもさ。」
  (洋・麻、苦笑)
重「おにぎり、あっていいんじゃない?同じ店に二回…」
洋(遮るように)「佐藤さん。佐藤さん。」
重「…うん?」
洋「貴方に出来る償いは、辞めることじゃない。」
麻「そうです。」
洋「貴方に出来る償いは、続けることですよ。」
麻「(大きく頷く)」
洋「そして、札幌に帰って、」
重「うう」
洋「鈴井貴之に会うことです。」
重「ううう…(呻き声)」
  (洋・麻、笑)

あぁ!ああもう!!たまらんのですよこの呼吸、この間合い。まるで台本があるようじゃないですかまるで演出家でもいるようじゃないですか。
おにぎりロケには度々こういう神がかり的に洗練された珠玉のミニコントが展開されるんですよ。しかもそのミニコントは全てアドリブ。多少編集でテンポを付けている場合もあるにせよ、素材の段階で不味いモノはどんな料理人にかかったって美味い料理になるわきゃねぇ!要はそれだけ上手い素材なんだ、ということですよ。
長い付き合いの大泉さんと佐藤さんの仲ともなれば、阿吽の呼吸でそれが出来るのもわかる。てゆうかむしろ出来て当たり前だと思います。でもね、そこに麻美ちゃんが加わることによって醸し出される面白味たるや、もう。ともすればだらけがちな男二人をグイグイと食い倒れの道へ引きずって行く引率力といい、場の空気を読んで下手上手に出る臨機応変さといい、発する言葉の言いっぷりといい、単なる地方局女子アナの域を超えていると思いますよ、この佐藤麻美さんという人は。勿論一緒に居るのが北の笑いを一手に引き受ける北海道のキラ星・大泉洋さんである、という要素も多分に作用しているわけですが。ア別に佐藤重幸さんだけじゃ面白くねぇとか言ってんじゃないですよ。彼は彼でまた別の得難い仕事をしてらっさりますよ。奇跡の残念製造機!ミスター・残念!佐藤重幸!!彼は今や笑いの神様に見初められた男と言っても過言ではないです。上記ミニコントあとのコメントとか、もう最高!


アタシにとって「おにぎりあたためますか」は、もはや「水曜どうでしょう」よりも笑える!面白い!番組にへと、最近はなっていますよ。どうにかしてこの面白さを広く知らしめたいんですが、真に面白いものはいくら言葉を尽くしたところで結局実際に見て貰う以上にその良さを感じることは出来ないわけで、その辺が非常に心苦しい上に上手く伝えられないのがもどかしいです。
なんとか八方手を尽くして、とにかく見てみてけれ!話はそれからだ。