鈴木志保という意思の塊

ヘブン…

ヘブン…

ぶ〜けッ子としては懐かしすぎる作家さん。とは言えそんな好き!て訳でもなく、気が向いた時になんとなく読みたくなる、それでいてなんだかいつまでも忘れられない、という作家さんの1人です。
「船を建てる」という風変わりなタイトルの、中身は更に更に風変わりな漫画が今でも忘れられません。復刊を望む声も多いみたいですし、そもそもなんであの名作を絶版にするのか、そこが信じられない。なんて言いながらも単行本とかは一切持ってないアタシに文句言う資格はないのかも、という自戒の念もあり同じ作家さんの新作本を買ってみたわけです。
単行本を持ってないので全て漠然とした印象と曖昧な記憶で言ってますが、久し振りに読んだ鈴木志保さんのお話はあの頃とまんま同じ世界観で、なんだか嬉しくなっちゃいました。何を書いても気が付けば結局同じこと言ってる人が大好きなんです。同じことっていうのはマンネリとかワンパターンとかそーゆーことではなくて、ちょっとしたフレーズとか空気感とかそこに漂ってる臭いなんかが同じってことなんで、特に具体的にアレがドウだからとは言えないんですが、その「囚われてる」かんじがとても好きで、そんな共通点を見つけると嬉しくてたまらない気持ちになるんです。ずっといつまでも変わらずにその思いに囚われ続けてる人の意志の強さに、びりびりと感動してしまうんです。だって思い続けることってそれだけで凄いじゃないですか。アタシの考える「囚われてる人」は他に大槻ケンヂスガシカオ怒髪天木原音瀬なんかがいます。
「ヘブン…」の中で特に好きなのは、ぬいぐるみが御主人を思い続けるお話です。確か「船を建てる」でも羊のぬいぐるみが御主人の帰りを待ち続ける話があって、当時もそれが一番大好きなお話だった記憶があります。アタシにも小さい頃大切に大切にしていたぬいぐるみがいて、可愛がりすぎてきちゃなくなってしまった今でも大切にとってあります…なんてオチが書けたら良かったんですけども残念ながらそういう豊かな愛情は昔から持ち合わせていなかったようですよ。だから尚更こういう世界観に憧れるのかもしれませんね。ないものねだりか、はたまた妬み節か。

船を建てる 1 (ぶーけコミックス)

船を建てる 1 (ぶーけコミックス)