殺人の追憶

殺人の追憶 [DVD]

殺人の追憶 [DVD]

本当にあった猟奇殺人の事件簿を読むのが好きです。
その昔「マーダー・ケースブック」を一巻だけ買ったこともありました。プロファイリング、という言葉が認知され始めた頃「FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記 (ハヤカワ文庫NF)」も読んでみたけどあんまり面白くなかった。多重人格者にも興味が及んで読んでみた「24人のビリー・ミリガン―ある多重人格者の記録〈上〉」は結構面白かった記憶があります。映画も見ます。「羊たちの沈黙〈特別編〉 [DVD]」「es[エス] [DVD]」など。


怖いの嫌いなんですよ。ホラーとかスプラッタとかホント苦手で。でも怖いものは見てみたい、ハラハラしたい。その我侭な欲求を満たしてくれるのがノンフィクションの猟奇殺人モノだったわけです。本当にあった話ですから、多少のサスペンス色は加味されていても単に怖がらせるためだけの過剰な演出はありません。本当にあった話なので、もしかしたらアタシも…と考えると確かに怖い、でも事実に基づき時系列順に淡々とストーリーが進むので、どこか安心して見ていられるのです。
悪趣味ですよね。その自覚はあります。なので、というのもおかしな話ですが上記に挙げた程度しか読んだり見たりしてません。確かに好きだけど、次から次へと呑み込むものではないなぁ、つう自己防衛でしょうか。や、多分面倒くさいだけですね。


で、まあ久し振りに呑み込んだ猟奇殺人モノ、しかも未解決事件!心弾む題材です。予告編も暗くて湿ってておっさん臭さムンムンなソン・ガンホがちょー格好良かったから期待大!むくつけき漢どもの!刑事の知力と意地を賭けた熱き戦い!
…って勝手に決め込んでたら、あら結構笑える要素もあるのね、と。前半はかなりユルユルで、意外でした。だけどそのせいで登場人物がとても生々しく身近に感じられました。刑事とはいえ一日中事件の事を考えて誠心誠意真面目に取り組むなんて、理想はそうかもしれないけど実際問題無理ってもんです。所詮はサラリーマン、検挙率のために多少無理な取り調べもしなきゃならない、家に帰ってSEXもするし、飲み屋で喧嘩だってしちゃう。勿論エンターテイメント作品として大袈裟な脚色はされてるんでしょうが、これは、そんな人間臭い刑事さん達を描きたかった映画です。完成度の高い素晴らしい映画でした。実際には捕まっていない犯人をどう表現して、どうラストに持っていくのかも見所でしたが、アタシ的には納得のいく結末でした。


ただ、やはり気になったのは過激な暴力シーンで、そこに絡むのが殺人犯ではなく刑事の方、ってゆう、普通に考えたらあり得ない状況。取調室で、道端で、飲み屋で。次々と繰り広げられる飛び蹴りに次ぐ飛び蹴りに次ぐ飛び蹴りの応酬。正直もうお腹いっぱいです勘弁して下さい。
日本映画の喧嘩シーンで飛び蹴りが多用されることってまずないような気がします。大抵向かい合って拳で殴り合ってますよね。でも素人目から見ても、韓国式の喧嘩スタイルの方が先手必勝一撃必殺で、とても合理的かつ強そうです。これは国民性の違いなんでしょうか。だとしたら韓国人とは絶対喧嘩しない方がいいな、とつくづく思いました。

華城(ファソン)事件は終わっていない~担当刑事が綴る「殺人の追憶」~

華城(ファソン)事件は終わっていない~担当刑事が綴る「殺人の追憶」~

実際の捜査を担当した刑事さんによる手記です。現在ユーズド商品で送料込658円。買って読んで映画との違いを楽しもうかしら。