山本文緒「恋愛中毒」

なんとなく心が荒んでいるような気がして、古本屋に立ち寄ったもののいつものようにバッタバッタとパズルの1ピースのように人間が死んでいく物語は読みたくないなぁ、と手に取ってみた恋愛小説。


タイトルがきいた事あった(後で調べたら薬師丸ひろ子主演でドラマになってた)のと、なんとかいう賞を取ったらしいので人並みには面白いんだろうな、と思ってなにげなく買ってみた。


そして、うーん恐かった。死人は出ないんだけど、狂人が出てきた。


しかしその狂人の気持ちに思いっきりシンクロ出来てしまったりなんかしたトコロが、非常に恐かった。何処にでもいそうなんだもん、この狂人。誰でもなれそうなんだもん、この狂人。


確かにアタシはこんなフザケタ恋愛はしませんよ。でも今の自分の不幸な境遇は全て両親のせいだと思い込んでいたり、本当は嫌なのにソレを我慢していた事を相手に恩着せがましく押し付けたりするところが、アアこれはアタシの事だといちいち感じさせられて、胸が痛かった。


いやいや、恋愛小説と侮るなかれ。もっと読みたい山本文緒